- この記事はこんな人におすすめ
- 投資を始めるにあたっていくらから始めればいいか悩んでいる
- 投資のためのお金をどう捻出すればいいか分からない
- 一般的な支出金額を知りたい
いくらくらい投資に回せばいいのか
極論すると、投資に回せる額は多ければ多いほどいい
「投資を始めたいけれどいくら投資に回せばいいんだろう。」
投資を始めようとしたときにまず思い浮かぶ悩みだと思います。多すぎてもいけないし、少なすぎてもいけないような気がしますよね。だからといって具体的にいくらがいいのか、悩みどころかと思います。まず結論から言うと、投資に回せる額は多ければ多いほどいいです。
なぜかというと、多くの額を投資に回した方が効率よく資産を形成できるからです。例えば年間3%資産が増えるとしたときに、1,000円が元手だと1年後には30円しか増えませんが、10,000円が元手だと300円、100,000円が元手だと3,000円増えることになります。このように、同じ利回りを前提とした場合には、元手が大きい方が増える額も大きくなるというわけです。
なお、以下の記事で触れている「長期・分散・少額」投資を行うことが大前提であり、一気にまとまった金額を一度きり投資するというわけではないことにご注意ください。
一方で、いざという時のお金や自己投資とのバランスも大事
ここまで説明した通り、投資に回す額は多ければ多いほどいいわけですが、かといって「全財産を投資に回す」というのも何だか違う気がしますよね。投資にはもちろんリスクが伴うわけで、言い換えると1年後には3%増えている可能性もあれば、3%減っている可能性もあるわけです。これも踏まえて、投資額を決めるにあたって考慮すべき点は、以下の3つあると思います。
①いざという時のお金がいくらくらい手元にあるか
②余裕資金(≒毎月の収入ー毎月の支出)のうち自己投資に必要なお金はいくらか
③市場が荒れて減ってしまっても構わない額はいくらか
一つ一つ説明していこうと思います。
まず「①いざという時のお金がいくらくらい手元にあるか」です。これは「生活防衛資金」とも呼ばれているもので、万が一病気やケガ、失業等で働けなくなったりした場合に、再び働けるようになるまであてにする資金です。一般的な目安としては、一人暮らしであれば生活費の3か月分、自分が養わないといけない人がいるのであれば生活費の6か月分を銀行口座に置いておくといいと言われています。
この額の貯金がない人は、まず生活防衛資金を確保するのを優先したいところです。一方で、この額がないと絶対に投資を始められないというわけでもありません。例えば、1か月の収支が1万円のプラスになる生活をしている人であれば、そのうちの1,000円は投資に回し、9,000円は生活防衛資金用の貯金に回すというやり方も考えられます。この場合は1か月あたりの余裕資金の1割を投資に充てていることになりますが、この割合をどうするかは現在の生活防衛資金残高によって変わってくるでしょう。生活費の3か月分が必要なときに、まだ1か月分も貯まっていないのであればなるべく生活防衛資金確保を優先した方がいいですし、既に80日分くらい貯まっているのであれば大半の割合を投資に充てればよいと思います。先に生活防衛資金を確保してしまえば投資で損失が出た場合にも心の余裕が生まれます。私の場合は社会人の最初の2年弱は投資をしていませんでした。これは単に投資への意識が不足していたという要因が大きいですが、結果的には生活防衛資金の確保に役立ったと思います。一方で、もっと早くから少額でもいいから始めておくべきだったとも思っています。
次に「②余裕資金(≒毎月の収入ー毎月の支出)のうち自己投資に必要なお金はいくらか」です。特に若いうちは、稼ぐ力を身につけるための自己投資も資産形成と同じくらい重要です。「自己投資のため」と言ってむやみやたらと考えなしにお金を支出するのも考えもので、どうすれば少ない金額・少ない時間で最大の効果を得られるかは常に考える必要がありますが、20代で自己投資をしている人は全体の1/4に過ぎないというデータもあるので、自己投資をした方が周囲の人よりも稼ぐ力がアップするのは間違いないでしょう。その観点から、毎月一定額(例えば「収入ー支出」の1割など)は自己投資に回すなど、自己投資の金額をルール化しておくとよいと思います。その上で、自己投資の金額をあらかじめ除いた額を(金融)投資に回すのがよいでしょう。
最後に「③市場が荒れて減ってしまっても構わない額はいくらか」です。例えば、先ほどの①②を踏まえて、毎月5万円を投資に回せるとします。でももしその5万円が1年後に丸々なくなっていたらどうでしょうか?そういう状況に抵抗がある人も多いと思います。まだ投資を始めていない人ならなおさらでしょう。なので、特に投資を始めたての人は、市場が荒れてしまってゼロになっても構わない額から始めるのがいいでしょう。実際のところは、個別の企業の株式に投資しない限り、投資資産がゼロになることは滅多に起きないと考えておいていいと思います。ただ、「長期・分散・少額」で投資をしていても、市場全体が荒れているときには損失が発生することがあります。例えば2008年のリーマンショックでは、米国の株価指数であるS&P500は1年半で60%近く下がりました。長期で資産形成をしていると、ここまでひどくはないにしてもそれなりの損失に直面する可能性が高いと考えておいた方がいいです。これを踏まえて、最初のうちは少額から始めて、慣れてきてから投資金額を増やすのがよいでしょう。私の場合は(これも結局は気にしなさ過ぎて忘れていただけなのですが)最初月2万円から始めた積み立て投信の金額を増やしたのはおよそ5年後でした。これも正直金額を増やすのが少し遅いかったなという気もしないではないですが、これくらいのんびりやっても何とかなるということなのかもしれません。
ちなみにS&P500がリーマンショック前の水準に回復したのは、リーマンショックが起きてからおよそ5年半後です。時間をかければ株価はいずれ回復するものですので慌てて売ってしまうのではなく、むしろコツコツと積み立て続けましょう。下落局面は「長期・分散・少額」投資の人にとってはむしろチャンスとも言えます。
投資のためのお金をどのように捻出するか
投資資金の捻出プロセス
ここまで、どのような考え方で投資金額を決めるかを説明してきました。ただ、今の収入・支出状況では結局1円も投資できないという人もいるかもしれません。そのような人は、「収入を増やす」か、それとも「支出を減らす」かのどちらか(あるいは両方)をして、投資のためのお金を捻出しましょう。
ではどのように捻出すればいいのでしょうか?すぐに効果を出すための理想的なプロセスは以下の通りです。
①まずは簡単なところから今すぐに節約を始める
↓
②自分の支出を把握する
↓
③自分と似た経済状況の人の平均支出額を自分の支出と比べてみる
↓
④自分の支出で過剰になっている項目を減らす
このうち今回は②と③について説明したいと思います。
簡単でいいので家計簿をつけよう(アプリがおすすめ)
まず「②自分の支出を把握する」です。これは、②-1「ひとまず1か月前の銀行残高と直近の銀行残高を比較して、1か月あたりの支出をざっくり把握する」と②-2「家計簿をつけて1か月の支出を詳しく把握する」に大きく分けられます。
②-1については、手元に銀行通帳があれば、それを見てみましょう。オンラインバンキングを登録していたら、そちらで見る方が直近の状況が反映されているのでより正確です。そして、直近の残高から1か月前の残高を引いて、いくら増えているか(あるいは減っているか)を計算すると、1か月で大体どれくらい使っているか分かります。場合によっては旅行や結婚式等で多く支出している月もあるかもしれませんが、その場合には2か月前の残高と直近の残高の差額を2で割って計算して、1か月の大体の支出を把握してみましょう。
②-2については、今すぐに1か月の支出の詳細は分からないかもしれません。ですが、ぜひ家計簿を1か月つけてみて、自分が何にお金を使っているか把握してみて下さい。紙の家計簿でもいいですが、アプリの方が圧倒的に楽なのでオススメです。マネーフォワードやfreeeがよく使われている家計簿アプリなので、ダウンロードしてみて下さい。
なお、アプリを使う際には、自分がよく使っているカードや支払い方法(PayPayやd払い等)をアプリに登録するのが便利です。しかし、アプリを無料で使う場合には、この登録の数が限られているので注意が必要です。逆に言うと、アプリを無料で使えるように、登録する必要のあるカードや支払い方法を少なく絞っていくのがよいでしょう。その方がポイントも効率よく貯められるのでオススメです。カードをたくさん持っている人はポイントが分散して効率が下がりますし、無駄に年会費がかかっている可能性もあるので、減らせないか検討するいい機会だと思います。
1人暮らし20代の平均支出額はこんな感じ
次に「③自分と似た経済状況の人の平均支出額を自分の支出と比べてみる」に関して、例として1人暮らし20代の平均支出額を見てみましょう。総務省の家計調査によると、
・年収が200万~300万円の人→年間支出 約165万円=月あたり約13万7,000円
・年収が300万~400万円の人→年間支出 約185万円=月あたり約15万4,000円
・年収が400万~500万円の人→年間支出 約206万円=月あたり約17万1,000円
となっています。実はこのデータには20代以外の人も含まれているのですが、自分の年収と同じ層の人と比べてみると支出の大体の相場観が分かると思います。
先ほど②-1で見てみた銀行残高の差額がこの支出より少なければ順調ということですし、多ければ改善の余地があるかもしれません。どこを改善すればいいかは人によりますが、例えば年収200万~300万円のデータに基づくと、月あたりの支出は以下が目安になります。
・食費:34,000円
・水道・光熱費:10,000円
・家電・家具・日用品費:6,000円
・被服費:5,000円
・医療費・医薬品費:5,000円
・交通費・自動車関連費:12,000円
・通信費:8,000円
・教養・娯楽費:12,000円
・交際費:4,000円
以上を合計すると96,000円になります。これに家賃やその他の支出が加わってくることになりますが、住む場所や勤め先に家賃補助があるかどうかで変わってくるので、その状況も踏まえながら支出抑制策を検討するのがいいでしょう。
また、上記はあくまで月平均なので、例えば水道・光熱費は季節によって上下しますし、家電・家具も1人暮らしを始めるときには多くかかるので、参考として見るのがいいと思います。
なお、個人的には食費はもっと少なくできそうだと思いますし、交際費はもう少し多くなりそうです。食費と交際費を足して38,000円だと考えるのがいいかもしれませんね。
まとめ:結局はPDCA
以上、これまで「いくらくらい投資に回せばいいのか」に関する考え方や、「投資資金をいかにして捻出するか」について説明してきました。この内容に沿って考えたりチェックしたりしてみれば資産形成をきちんと始められると思います。ですが、これはあくまでスタートラインです。投資はあくまで長い時間をかけて行うものですので、適当なタイミングでPDCAを行いながらコツコツと積み上げていきましょう。
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